2002年08月
・8月31日(土)
 NHK教育TV「日産社長カルロス・ゴーン」を見て
 
 経営不振にあえいでいた日産を黒字化する「リバイバルプラン」を、前倒しで達成してV字回復を果たしたゴーン氏が、「未来への教室」に出演して次のように子供たちに語りかけました。
 
 「リーダーとは、先に立って困難を乗り越える勇気のある人です。困難は自分を伸ばすチャンスと考え、挑戦する気持ちが大切です」
 
 「社長には覚悟を決めてなったので、仕事を辛いと思ったことはありません。批判を受けたり失敗することは、人生につきものなのです。お互いの意見の違いを乗り越えた時に、より良い仕事ができるのです。深く悩まず、自信を持って先に進むことです」
 
 「若い人や女性の能力を信じ、彼らに活躍の場を与えれば、もっと日本は良くなります。そして日本の子供たちが、外国のことに強い関心を持っていることを頼もしく思います」
 
 その著書『ルネッサンス』によれば、氏は1954年生まれの48歳で私より4歳若い方ですが、ずっと老練な印象を受けました。ブラジルに生まれ、ミシュラン、ルノー、日産と国も企業も全く異なる環境で、確かな成功を収めてきた氏は、まさにプロの経営者と言えるでしょう。
 
 朝7時から夜11時まで働く点に限れば私も負けはしませんが、その中身は月とスッポンの違いがあります。授業を受けていた子供たちと同じくらい、教えてもらうことが多い番組でした。
 
・8月22日(木)
 NHKテレビ「麦客(まいか)〜中国・激突する鉄と鎌」を見て 
 
 河南省の黄河中流域に、九州がすっぽり収まるほどの麦畑が豊かに広がっています。
 
 この地域では500年も前から麦刈りの季節になると、麦客(まいか)と呼ばれる上流域の零細な農家が、現金収入を目当てに出稼ぎにきて、その収穫作業を支えてきました。その数は30万人にも及び、鎌とわずかな身の回り品を携え、貨物列車に無賃乗車するなどして押し寄せて来ます。
 
 ところが近年、巨大なコンバインを駆使して収穫を請け負う、鉄麦客(てつまいか)と呼ばれる人々が他の地域から参入してきて、彼らを脅かし始めました。いち早く改革開放の波に乗り、先行者利得を手にした1万2千台の集団が、貧しい出稼ぎ農民と畑の中で激突します。
 
 どちらも激変する時代に乗り遅れまいと、鎌組は子息をせめて高校に行かせようと、鉄組は大学院まで進ませたいと、1ヵ月間寝る間も惜しんで働き続けます。現地の農家と気迫のこもった駆け引きをしながら、夢に向かって突き進む両者の姿には、最近の私たち日本人がすっかり忘れてしまったバイタリティーで満ち満ちていました。
 
 それにしても、15億人近い人口を抱える中国は、いかに広大な国とは言いながら、地域によって天と地ほども所得格差があり、なおその差は開くばかりのようです。この現況を知り、今や日本の重要な食料供給基地となった中国で、つい1年前に米国とアフガニスタン両国で起きたようなことが、繰り返されないように祈るばかりです。
 
・8月17日(土)
 市場カレンダーについて考える
 
 月遅れのお盆が、やっと終わりました。
 
 当地では今月10日(土)午後から15日(木)まで、ずっと台風並みの豪雨が続きました。このため、日保ちしない野菜を中心に入荷量が極端に少なくなり、各社の仕入担当者は連休中の手当てに悲鳴をあげました。
 
 とくに今年は14日(水)、15日(木)、16日(金)が臨時休市で、明けて今日は土曜日で開市、すぐ明日は日曜日で休市と、まるで仕入担当者いじめのような設定の仕方でした。今年1月の「社長日記」にも書きましたが、現場の苦労やお客様の都合を知らない人たちで、何も考えずに決めてしまったとしか思えないシロモノです。
 
 その点では、札幌市場が金土日を3連休とし、かつ2月・9月の祝日のある週には、水曜日を休市にしないなど、全国とあえて横並びせずに、独自のカレンダーで対応していることに敬意を表します。
 
 ちなみに、来年の東京市場のカレンダーは7月に決定済みですが、さすがに前述のまずさ加減は改善されてホッとしました。ただ、年末年始の臨時休市が、依然として短縮できなかった点は不満が残るところです。
 
 お盆と年末年始の連続休市は、市場のお客様が一般小売店主体だったひと昔前ならいざ知らず、年中無休の量販店などが主体の現在、全くマッチしない制度です。お取引先様が年間で最も忙しいこの時期に、相場が高く、かつ鮮度の落ちかけた繰越品を納入しなくてはならない現状は、本当に情けなく、「市場離れ」が言われて久しいのも当然のことです。
 
 皮肉にも有力産地側は、これまでの市場経由一辺倒の出荷体制を見直して、産地直送や契約出荷などの比重を増やす傾向にあります。こうした中、それぞれの地域で名門企業と言われてきた市場内の青果卸会社は、常連だった法人長者番付から相次いで姿を消すという厳しい現状にありながら、どこに遠慮をしているのか、さっぱりリーダーシップをとろうとしないのが不思議です。
 
 もはや国民全体が一斉に休んで、大移動をする時代ではありません。私たち青果市場業界は、「命あるもの」を「命ある人たち」に、確かな品質で届ける使命があります。その意味では、病院などと同じサービス産業と言えるのですから、お盆と年末年始の休市もせめて2連休程度に留めたいものです。
 
 そのかわりに、1月・2月・9月の祝日のない週は水曜日を休市とし、将来的には祝日のない週の水曜日を全て休市として、分かりやすいカレンダーにしたらいかがでしょう。
 
 実現できれば、何らの経費をかけることなく流通が円滑になって、相場も平準化し、お客様に迷惑をかけることもなくなるでしょう。その上、週40時間労働制にも合致しますし、高齢化が進む生産者も楽になると思いますので、機会あるごとに提言をしていきたいと思います。この件についての、関係者の皆様からのご意見をお待ちしています。
  
・8月4日(日)
 「夏休み小学生クッキングスクール」を終えて                  
 
 この催しは、「夏ばて知らずの野菜たっぷりクッキング」をテーマに、組合の青果物消費拡大活動と社会貢献活動の一環として、今年度初めて企画してみました。
 
 「朝ごはん実行委員会」のアンケートによれば、夏休みに親子でやってみたいことのトップは、親子とも「お料理」となっております。 また、最近の子供たちは親の影響もあってか食べず嫌いが多く、青果物の摂取量が少ないともいわれております。そこで今回は「野菜や果物のおいしさを知って、もっと食べて欲しい」と、選りすぐりの青果物をたっぷり使って、4種類の料理に挑戦してもらいました。
 
 実習に入る前に、「日本は世界一の長寿国ですが、お医者さんと製薬会社だけが儲かる長寿では意味がないのです。少しずつ好き嫌いを直しながら、自分の健康を守ってください」と、今回の催しの趣旨を述べました。
 
 こうして、2時間がかりで親子がふれ合いながら作りあげた料理は、全員が大満足するほどの出来栄えで、またの開催リクエストも寄せられました。カットバンを使う程度の名誉の負傷をした子供も何人かいましたが、夏休みの楽しい思い出を作ってもらえたものと思います。
 
 ちなみに文部科学省では、学校週5日制は子供たちの「生きる力」を育むことが目的だとしておりますが、子供たちが自分で料理ができることこそ、これに合致するのではないでしょうか。その意味では、家庭科の授業の充実こそが必要な気がします。その点、今回は男児の参加者も数人あって、将来に楽しみを残しました。
 
 ご指導いただいた中村雅子先生には心から御礼を申し上げます。他の組合加盟各社の賛同も得ながら、毎年恒例の行事にできればと考えておりますので、その節はよろしくご協力をお願い致します。
 
・8月1日(木)
 NHKテレビ「追跡・中国産冷凍野菜の実態」を見て
 
 ここ数ヵ月の間、中国産の冷凍野菜から基準値を超える残留農薬が相次いで検出され、波紋が広がっています。
 
 今夜の「クローズアップ現代」では、急増する輸入食品に検査体制が追いつかない現状や、中国で産地ブローカーが介在することにより、食品メーカーのマニュアルが徹底されていないことなどの実態を伝えました。
 
 とかく外見を重視しがちな日本人の気質が、問題を引き起こす遠因となっていそうですが、「だます方も悪いが、だまされる方も悪い」というモラルの国があったり、同じ法律や規則でも輸出国と輸入国で解釈の仕方に差が出たりする以上、相手国まかせにすることなく、水際での厳格な検査体制を早急に確立すべきでありましょう。不適格な商品が一旦国内で流通し始めたら、その回収コストや及ぼす影響は計り知れないものになってしまいます。
 
 さて、この問題が注目されるようになってから、国産野菜に需要がシフトして、久しぶりに相場が高値基調になっています。ホッとひと息ついている業界もあるでしょうが、輸入食品に依存せざるをえない業界などでは、そのとばっちりを受けて頭を抱えているのも確かです。
 
 現地の輸出意欲は依然として旺盛なため、栽培管理を徹底して早急に巻き返しを図ってくるでありましょう。ひょっとすると、農薬よりも安い労賃の産地から、正真正銘の無農薬野菜が次々と押し寄せてくるかも知れません。
 
 これを迎え撃つ国産の野菜は、「安心・安全」をセールスポイントに盛り返していますが、その裏づけとなると誠に心もとありません。どうもイメージで売っている部分がありはしないでしょうか。
 
 たとえば、出荷時点で残留農薬の検査をしている生産者や団体はどれくらいあるのでしょう。中央市場で常駐の衛生検査機関があるところは、全国に何ヵ所あるのでしょう。加えて、その検査結果を普段からきちんと公表しているところは・・・・。
 
 ようやく最近になって、青果物のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)の導入に着手する産地も現れてきましたが、これら多額の費用を一体誰が負担するのでしょう。このところ懐具合が厳しく、かつ「安全はタダ」だと思っている日本の消費者には、とても負担する気はないでしょう。ややもすると立場の弱いところに、そのしわ寄せが行きがちです。そうなると、そこからまたほころびが出ますので、ここは食品関連の「重大な失政」をしてしまった国が、きちんと予算を投入して名誉挽回をすべきでありましょう。
 
 話は変わりますが、大手の某ハンバーガーチェーンでは今月5日から、これまでの最安値で販売攻勢をかけると発表しました。デフレ終息を半年前に予想して、値上げに転じたばかりなのに、あえなく方針転換をしてしまいました。私なりの素人考えですが、たとえば野菜をたっぷり使ったり、カロリー控えめのヘルシーメニューを導入するなど、打つべき手は他にもあったのではないでしょうか。
 
 おかげで、せっかく落ち着きかけたデフレ不況が、またもや再燃しそうな雲行きです。たいした効果も出そうにない安易な安売り合戦は、どの業界に限らず、そろそろやめてもらいたいものです。
 
 (追記)
 ちなみに農薬工業会では、全国の保健所や衛生研究所などが国産の農産物を抜き取り検査したところ、99年度には約39万件の検査総数に対し、56件が基準値をオーバーしていたと発表しています。
 
 
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